「実質1円」――この響きは、多くの人にとって魔法のように魅力的です。最新のスマホが、たった1円で手に入る。そんな広告を見て、心が揺れた経験はありませんか?
ですが、その1円は、最初に無料で与えられる美しい“黄金の足枷”かもしれません。
「実質1円」の正体とは?
「実質1円」という表現は、端末代金の一部を、長期の分割払いと特定条件での割引によって、最終的な支払額を1円程度に見せる販売手法です。
多くの場合、24回や36回の分割払い契約と、「一定期間後に端末を返却すれば残りの支払いが不要になる」という条件がセットになっています。これが「端末購入プログラム」と呼ばれる仕組みです。
残価設定という“未来の約束”
この契約の核心にあるのが残価設定です。
例えば、10万円のスマホを買うとします。契約時に「2年後にはこの端末の価値は4万円」と見積もられ、その金額を最後まで払わずに済むように設計されます。
ただし、その条件は「端末を返却すること」。返却しない場合は、その残価を支払う必要があります。
端末購入プログラムのメリットとデメリット
この仕組みには確かにメリットもあります。特にiPhoneなど高額な端末を購入する際には、負担を軽くする有効な手段となります。
一方で、デメリットも存在します。特に理解しておきたいのは、契約期間中の自由度が制限されるという点です。
- 契約期間中に他社へ乗り換えにくくなる
- 端末を返却しない場合は残価の支払いが必要
- 返却条件を満たさないと免除が受けられない
現場でしか語られない「審査」の存在
ここは、多くの広告や説明ではあまり触れられないポイントです。
端末を返却せず残価を支払う場合、多くは「再分割」での支払いが案内されますが、正確に言うと必ずしも厳格な分割再審査が行われるわけではありませんがという表現がより適切かと考えます。
なぜなら、高額端末購入時に外部与信(外部の信用情報機関への照会)を通した分割審査はすでに完了しているためです。
ただし、ご利用状況によっては話が変わります。例えば、支払い滞納が続いている場合や、その他著しい変化があった場合には、残価に至るまでの分割時には特に問題なく分割請求が継続していても、販売会社の判断で再審査が行われることがあります。
つまり、通常は追加の審査は不要ですが、状況次第では再審査が必要になる可能性がある――この点を理解しておくことが大切です。
意外な心理的デメリット ―「機会損失」
実は、契約時に想定していなかった心理的なハードルが、2年後に立ちはだかることがあります。
「万が一、再分割の審査が通らなかったらどうしよう…」
「手続きが面倒そうだから、このままでいいか」
こうした心理が働き、本来はもっとお得なプランや条件があるのに、行動できないまま機会を逃してしまうのです。これが、最も見えにくい損失といえます。
まとめ ― “1円”の裏にある未来の自由
「実質1円」の契約は、条件さえ理解していれば便利な仕組みです。しかし、そこには「返却条件」「残価設定」「再分割時の可能性としての審査」といった、注意すべきポイントが存在します。
短期的なお得感だけで判断せず、2年後・3年後の自分の選択肢や自由度まで視野に入れて検討することが大切です。
目先の“1円”に、あなたの2年後の自由を売り渡さないように。賢く使えば強い味方になりますが、仕組みを知らずに飛び込むのは、やはりリスクがあります。

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